アジアの途上国自立支援の一環として始めたニームGreenプロジェクト。
現地で行う実験の進行状況を記録するためにまとめてみました。

2010年6月9日水曜日

地道につきあえるカンボジア人

カンボジア6月支援で再び訪れたPCO孤児院と実習ファーム。スダウ(ニーム)の葉っぱから抽出した原液を薄めてスプレーする方法を、土壌改良と、農作物(主にフルーツ)の虫除けに提案したのが、前回1月の訪問時でした。
それから直ぐ、 PCO孤児院は、しばらくの間実習ファームに3日に1度通ってスプレーをしていたそうです。また、孤児院内にも畑を作り、そこでも実験をしてみたそうです。

当初は土があまりにも不健康で虫が多かったため、濃度も少々高めに、また頻度も上げてみたのですが、やりすぎてしまった様子。特に野菜の葉が黄色くなってしまったため、フルーツ(バナナ、マンゴーなど)の根元だけに1~2週間に1度撒くようにしたようです。

引き続き、実験を進めるため、今月から再チャレンジ。濃度を薄めて、頻度も下げ、葉っぱではなく根元にまきながら様子をみようということになりました。

5月から、ハートスペースのボランティアスタッフが孤児院に滞在支援をしていますが、今月からは、農業が得意な片山選手が滞在!今がチャンス。ニーム実験も進めていけそうです。

また、孤児院では、2月以降が丁度スダウの種が拾えたようで、大量ではないですが、買い物袋1つ分程度の種を保管していまし
た。保存状況などは良くなかったようですが、提案したことを忘れず、こうした地道な動きについてくるカンボジア人を見るのは、正直なところ、この9年間のカンボジア支援で初めなもので、実験が上手く行くいかないより、こちらの発見の方が嬉しかったです。



孤児院滞在支援の第1号、大山選手がだめもとでも、と植えてみたスダウも芽を出したようで、嬉しいこと続きです。このスダウは、実習ファームの手作り池の周りに植えてみよう!と一同夢を膨らませています。

そして、実習ファームに昨年の春、日本から持参した苗を植樹しましたが、そのニームは順調に育ち、同時期に日本の室内で育てているニームとは比べ物にならないくらい大きくなっています。







残りの種は、子ども達と一緒に核を取り出し、ニームオイルも作り、スプレー実験をしてみる予定です。圧搾機ももちろんカンボジア用に持参。殻や実、ニームケーキももちろん、畑に使います。孤児院滞在支援では、日々の生活支援や日本語学習などもありますので、ボランティア一人でどれだけのことができるか、ですが、地道に、地道に...。
その姿勢を、カンボジア人と分かち合えたらと思っています。

孤児院滞在支援のスタッフによるブログはこちら

2010年4月10日土曜日

スリランカのニーム実験:研修第一期修了まで

2009年12月22日~2010年3月14日の期間で実施された、スリランカでの日本語学習&技術研修プログラムの第一期が修了しました。

3ヶ月の間、日本人ボランティアが日本語をはじめ、アジアの農村生活向上に役立つ、色んな日本の知恵・工夫、実験や研究、そして農業や大工に関する技術を紹介するなど、たくさんの学びがありました。

ニームの実験も、2月以降~研修の最後まで行い、母国に戻った4人のミャンマー人の学生は、数々の学びを持ち帰ることができました。母国では、引き続き研修が続行されており、優先課題もありますが、ニームの実験は継続し、母国のニームを研究し、将来実用化させたいということでした。

この研修は、非常に厳しい環境を生きてきた人々の中で、村全体の自立をリードできるような新しい力を育てることが目的です。村で中等教育までしか受けられなかった若者に、強い心を育て、創意工夫や勤労・奉仕の楽しさを教えることを学習の目的とし、それに必要な日本語を同時に学んでいます。(詳しくはこちら: NPO事業概要事業応援チームのブログ

3ヶ月間の研修中、ニーム、えひめAI(有用微生物)などを自作し、庭の畑や施設で実行可能な実験は色々ありました。ニームに関しては、前回お伝えした通り、「自分のたい肥作りとトウモロコシ栽培」という実習に、内容はともかくニームを使った研修生が何人かいたこと、共同の畑の土壌改良や虫除けに試用してみたこと程度ですが、実際には多くの過程をふみ、目的に対する成果はあったと思います。

『実験・観察』という初体験に挑戦し、いい(良い)加減?で、短い期間での実験ではありましたが、最後に、一人ひとり自分の観察記録を持ち寄り、『まとめ』をしてみました。限られた条件下で、厳密な実験結果ではありませんが、このディスカッションまでのプロセス自体が重要であった、ということでご了承下さい。

◆たい肥づくりとトウモロコシ栽培の実験のまとめ◆
まとめ:2010年3月14日

実験期間:2010年2月3日~3月12日(約5週間)



<感想・意見交換の内容>

●最初はどちらか分からなかったが、えひめAIとニームは相性がいいのではないかと思う。(放線菌が、たい肥作りの時3日程度ででてきた、えひめAI+ニームケーキを使った畝には、シロアリ、あり、アブラムシの発生がとても遅かったり少なかった)
●えひめAIは、分解を早くしてくれるので、ニームケーキの成分も、よく効いたのではないかと思う。
●ニームケーキを入れた方が、全体的に葉があおかった。
●生ゴミたい肥とニームケーキをいれたところは他よりよく育っていた。
●ニームケーキはいいと思う。
●全体的に大きく育たなかった。根も弱かった。虫のせいかもしれない。
●これまで田舎でやってきたように、腐葉土だけで栽培していたら、その効果は1週間ぐらいしかなかったと思うが、いろいろな材料でたい肥を作って畑をするのはよいと思う。
●牛ふんを入れるとアリがくる、アリが来るとアブラムシが多くなると思う。

虫が多くて、かなりダメージを受けた感じでしたが、それでもニームはいい、という感覚を全員がもっていました。
今回は、実験の途中で初めに自分で考えた進め方を変更せず、他と比較観察できるようにする、ということが課題でしたので、ニームが虫に効くかどうかという事ははっきり分からなかった...、でも、実験の畑以外で個人的に虫に試してみた学生もいて、「ニームはよさそう」というのが、全員の感想でした。

帰国時には、ニームケーキの残り8Kg、ニームオイル(いずれも市販品)、自分達がジプシー村からの種の核を圧搾して作った自家製ニームオイルも母国へ...。

ミャンマーにニームは自生していますが、どこにでもあると思っているが、良く考えると、自分達の研修地周辺にニームがあるかどうか分からないし、種がいつ採れるのかも意識したことがないから分からない、ということで、市販のニーム製品をまず試そう、ということになったわけです。

日本では、『強烈に臭い』というニームも、野生児(?)の彼らにとっては「いい匂い」らしく、帰る頃にはすっかりニームファンになっていました。あれだけ強烈な匂いのニームケーキを、全員が率先して自分の荷物に衣類と一緒に入れてました。(笑)

現在、彼らは、研修地となる田舎の野原に、自分達が住んで学習を続けるための竹の家を作り、川の土手や水門を作ったり、敷地用の柵を作るなど、とてつもない課題に取り組んでいます。どこまでやれるかは分かりません。期間中、この野原から外出することもせず、「何もないところで自力で頑張る」サバイバルが課題です。
最低限の食料は用意ましたが、きっと彼らのことですから、その他に食べられるものを何とか手に入れようと、畑ぐらいはさっさと作っているのではと思うところです。

また、竹の家の屋根と壁は全てヤシの葉っぱですが、虫が来ないようにニームをスプレーする、と言っていました。私達は、3月末で帰国しましたが、4月6日現在までに、家はほぼ完成しものと思われます。(写真は4月1日頃撮影)

ミャンマーでは、ニームはタマー(という発音に聞こえる)というらしく、2種類あるとか。彼らと車で田舎道を移動中、「あ~あれがニームです」、「あ、それもです」、と森を指差して教えてくれたのですが、あいにく野生の木を見極める目を持っておらず、私にはよく分かりませんでした。
唯一、写真撮影に成功したのが、パゴダに立ち寄った時、境内に生えていたニームの花です。大きな木でした。この地域(中部乾燥地)にはたくさん自生していて、街路樹が全てニームというところもありました。

手の届くような比較的低い木の葉っぱは、ギザギザしていて、日本の製品紹介に出ている葉っぱや、私達がカンボジアやスリラ ンカの村で手に入れたものと似ています。味も。しかし、この写真の花の木は大木で、枝に手が到底届きそうもないような高さでしたが、この葉っぱは、ギザ ギザがありません。スリランカの村からの葉に似てます。(下記スリランカ・北部の村支援からの情報をご参照下さい)
残念ながら、この大木の葉っぱの味は分かりませんでしたが、種類が違うのか、成木になると葉も違うのか、いろいろな憶測で会話ははずみました。


<スリランカ・北部の村支援からの情報>

スリランカの村支援では、ジプシー村を主にニームプロジェクトの対象としていましたが、3月上旬、北部のほかの村を訪ねたときのことです。村でニームの話題になり、ニームは国に3種類あり、薬用の木は、村の外や国外に出すことは許可がなければいけないとか。アーユルベーダの薬木は国が管理している、ということらしいのです。

前回お知らせしたように、薬木は、特別に栽培されていて普通のニームとは異なる、という情報は本当かもしれません。しかし、この村に、たまたまなのか?国が管理してるのか?やはり、その辺に生えている木だからなのか?「これがそうです」と、村の人が”取っちゃいけない”という木の葉を見せてくれました。(苦笑)

葉っぱが違うのです。小さいギザギザがなく、前述のミャンマーの大木ニームの葉と酷似してます。乾燥した後の匂いを嗅ぐと、ギザギザの葉っぱと少し違うようです。
いずれもいい匂いですが、こちらの方が優しい香り。同じ苦味があるのですが、意外に薬木の方がまろやかで薄く、口に残りません。

私達にとっては、まだまだ謎だらけのニームですが、どんなに時間がかかっても、失敗しても成功しても、自分達の手と足、五感ぜんぶ使ってその実態を明かし(?!...大げさ?)、村の人の自立や生活・農作業に役立てられるものにできることを願って、歩み続けます。

この事業に関心を持つ仲間が現れ、2月にはその応援グループ(長渕さん達)がスリランカ人道支援&研修にも参加したことから、ますますニームGreenプロジェクトに力が入るようになりました。現地の人たちとの協力体制も更に深めつつ、自然と貧しい村の人たちとの関わりで行う事業ですから、しっかり腰をすえて地道に頑張っていかなければいけません。

<ジプシー村からの苗>
ところで、前回お伝えした、支援先のジプシー村からセンターに持ち帰った苗ですが、種から育てた、という苗の中でも、全部がそろって大きくなったわけではなかったようです。3月に、日本人のボランティアも研修修了と同時に帰国をしましたので、その直前に、育苗ポットで17cmぐらいに育ったニームをセンターの庭に37本植えてきました。
薬木かどうかは定かではありませんが、植樹できる大きさまで育てなければいけません。ひとまずポットから移したというわけです。次回訪問時に様子をみるのが楽しみです。大きく育つといいなぁ。

2010年2月22日月曜日

スリランカ・センターでの実験

2009年12月から、スリランカの活動センターで、研修プログラムが実施されています。スリランカでは、アンダラブッダ村という、ジプシーの人達が自立を目指している村があり、その自立支援にニーム(コホンバ)が活用されていることは、NPOのブログなどで紹介されています。

アジアの貧困村で自立を目指す若者が、地元で自生するニームを農業や生活に役立てるために、いろんな実験がスタートしています。種の核からオイルを搾ったり(いわゆるニームオイル)、搾りカスを肥料に使ったり(ニームケーキ)、カンボジアの実習ファームと同じように、葉っぱからスプレー用の原液を作ってみたり、殻や果肉を砕いみたり、といろいろと試みています。

なによりも、ジプシー村の支援で引き取られた、ニームの乾燥した葉っぱや、種、果肉 が、活動センターにはたくさんあります。これらを役立てない手はありません。また、アーユルベーダーのドクター(会社?)は、薬効がある木は希少でその辺 には生えていないと言っているというような情報もありますが、薬効のあるニームの特徴を効くと、”その辺(ジプシー村)に生えている”ニームがそうではな いのか、と思われるような現実もあったりと、実態が良くつかめません。

本当に忌虫効果があるのか、肥料になるのか、そういう実験は、自分達で実証していくのが今の私達に出来ること。とにかく、まずはやってみること、それが一番です。
日本にある製品PRのための情報は沢山手に入りますが、 オイルやニームケーキの作り方というのは見つかりません。

日本から持参した、製品になっているオイル、ニームケーキを目と鼻で研究しながら、あの手この手でそれに近いものをまず作ってみよう...と。

「こ のニームケーキは、一番有効成分の多い、核をそのまま使っているので、栄養が高い、オイル圧搾のあとのカスではありません」というようなうたい文句がPR にあります。でも、やってみると、オイルを搾ったカスでないということは、種の殻と核を別々にする作業が無くてよく、オイル圧搾もしなくてよいので、なー んだ、簡単じゃん、ということになります。

「搾ってない核だけ」と書いてある、ちょっと値段も高めのニームケーキ製品も、よ~く観ると、殻を砕いたような白い粒も見えます。また、圧搾した跡のような、固まった核も見えます。なんだか何が良い、と言いたいのか、実際にどっちなのかよく分かりません。

それでも、そのニームケーキ製品を畑に使ってみたところ、結構早い時期に放線菌という、土によいと言われる菌(白いかび?)が出てきたと言う観察結果なの で、土によいということは本当のようですから、自家製のニームケーキ を作って、同じように放線菌がでるかどうか観たいところです。


自家製ニームケーキは、オイル圧搾の搾りカスのみのもの、殻や果肉も粉砕して混ぜて、製品の見た目や臭いに良く似たものを作ってみたもの、の2種類を作ってみました。
し かしながら、今は、研修生の課題が「自分で考えて自主的に行動する」ということで、畑の実験や観察は、彼らの手にゆだねられています。独自の堆肥づくりを 研究しており、研究といっても、よさそうなものは何でも放り込んで、てんこ盛りの堆肥と言う感じで、どこまで実験になるのかは...。

ニームオイルも、希釈してスプレーし、虫除けのために使うことが目的ですが、畑の面積が対した広さでもなく、葉っぱから原液をとって希釈するスプレーとの比較ができていないようにも思います。

日本人ボランティアに、ニームの実験を独自にやってみて欲しいと投げかけて(丸投げして?)きましたが、これもまたどこまでどのように実験できるか、短期間ということもあって未確定です。
こ のほか、大量の葉っぱは、状態の良いものはお風呂にハーブ湯のようにして使ってみたいというような人がいてそれに試用されたのを除いては、センターに米袋 に入ったまま眠っていました。これらは、堆肥づくりに使われたようです。研修生の独自の堆肥づくりではなく、もう少し時間をかけてゆっくり熟成させて作る (今年の12月~始まる次期の研修に向けて?)堆肥の材料として使われているようです。

また、研修プログラムへ技術指導のために来ていた、NPO法人Shien Tokyoでは、ニームで草木染を実験したりもしていました。
ニームの実験によって、オイル圧搾体験ができたので、他の食用オイルも自分達で作れる、とか、スプレー等の希釈体験から、計算したり、原液では良薬も毒になり使えない、ということを学んだり色んな学習が出来ていると思います。























2010年1月20日水曜日

2010年1月ニーム実験スタート!

2010年1月16日~

カンボジアでも、ニーム(現地語:スダウ)の実験が始まりました。

バンテアイスレイにある実習ファームも、地元の協力NGOサポーターやPCO孤児院と、順調に進展しています。(詳しくは、自立支援ブログをご覧下さい)

ファームの土地には、バナナや、地元のイモ類は何とか育っているものの、全体のほんの一部です。相変わらず、土は砂地で蟻が大量にいて、思うように作物は育ちません。

現地から、ヒマラヤの塩を使った(?)天然肥料を施してもいいか、という相談もありましたが、一緒にニームの研究をしてみないか、と提案。わざわざヒマラヤからの塩を使わなくても、カンボジアにも有効な天然資源はあるはずです。

しかし、スリランカの人がそれを笑ったのと同じように、カンボジア人も、「スダウを育てる?そんなものそこら中に勝手に生えているし、農業に役立つ話なんか聞いた事ない」と笑います。


「そんなあなた達こそ、世界で笑われているかもよ。こんなに、資源が豊かにあるのに何も役立てていないで貧乏だと言ってる。」

毎回、何かやろうと言うと、必ずこんなやりとりになりますが、それでも互いに意見が言い合えるようになったことは嬉しいことです。

「とにかく、やってみよう。肥料はちょっと待って欲しい。具体的なことは行ってから説明するから...。」そんなやり取りをして、今回の訪問を迎えました。

来てみてびっくり!PCO孤児院のスンタンさん(代表者)が、遠くの村からスダウの葉っぱを米袋10袋分用意し、しっかり乾燥させて待っていました。

「その辺にある」、とは言うものの、じゃあすぐもってきてと言ってもその辺にないのがカンボジア。あらかじめ色んな予測を立て、スリランカからニームの葉や種、日本のニーム製品などを持参して、いろんな状況を想定し対応できる準備を整え、なんとか説明をして試してみせるつもりでいました。

ところが、現地に行くと、しっかり地元のスダウがきれいに乾燥されて準備万端!!当初は、その辺にあるという割りに、買わなければいけないと言っていましたから、そんな訳ないでしょ~、だったら植えようよ!と、メールのやり取りの段階では、あきらめていましたから。

・・・そう、私達の知るカンボジア人は、最初からあきらめるか、お金をかけて(私達が払う)何とかしようとするかのどちらかばかり、というイメージしかありません。今回は名誉挽回です。葉っぱがふんだんにそろっていたので、さっそく実験に取りかかれます。


<実験の様子>


今回の実験は、日本で販売されているニームの粉状乾燥葉を、土壌改良として使う方法を参考にさせてもらいました。

製品ほど、細かくカットできませんが、子ども達の小さな手でできるだけ小さく揉んでもらいました。

参考にした分量のニーム葉を、計量した水とアルコールに浸します。アルコールや焼酎を入れると、成分の抽出力がアップするそうです。
カンボジアの薬局から手にいれた消毒用アルコールですが、なんだか臭いはウォッカのような、酔っ払いそうな、何ともいえない臭いでした。(大丈夫かな~)

炭で火をおこし、火にかけます。予定では、60-70%の水分量の原液が取れるということですが、乾燥した葉がしっかり水分を吸って、そんなに取れそうもない感じです。

自然に冷まして、一晩ねかす、ということなので、初日はここまで。翌朝出直し、いよいよニームをまきます!!

前日に残っていたアルコール臭はほとんどなくなり、葉っぱの底には濁った緑茶の液体が見えます。なんとか少しは液体が取れそうです。

枕カバーの古いものを使って、ぎゅ-っと絞ります。今回は、男性4人で思い切り絞ってもらいましたが、それでもなかなか力が加わりません。葉っぱを半分に分けて、もう一度小分けにしながら絞りなおし、なんとかそれらしき原液を抽出。

 次回は、葉っぱを袋にあらかじめ入れてから漬けるか、もっと大きな筒状の布に、両端に棒を入れて両方から反対方向に回して絞る方法を提案しました。

噴霧器が目詰まりしないよう、布でこしながら原液をボトルに貯めます。6-7リットル取れる計算でしたが、実際には5リットルぐらい。臭いはさわやかな感じで、うーん効きそう!?

希釈も正確に行ってもらうために、ペットボトルに目盛を付けて計量カップを作成。分量の原液を5ℓの目盛が付いた噴霧器に入れ、正確に目盛まで水を入れて希釈しました。

持参した噴霧器は、全部で4つ。①~④と印を入れ、栽培しているところだけではなく、土地全体にくまなくスプレーしてみることにしました。

結局、4つの5リットル噴霧器を、それぞれ3回空にして全体にスプレーが終わりました。

つまり、計12回分で、原液は300ml使いました。原液は、冷暗所に保存して1ヶ月以内に使い切ったほうがいいという情報ですから、カンボジアの暑さなら、それより早く使ったほうがいい。

また、乾季で湿度も高いので、2ヶ月間ぐらいは1週間に2回、継続して撒き続けてもらうことにしました。それなら、今回作った1回分の原液は、1ヶ月以内に丁度なくなりそうです。

 絞ったカスの葉っぱは、堆肥仕込み用の穴に半分、育ちが悪いマンゴーの木等の根元に半分撒きました。

(堆肥仕込み用の穴は、初日に大きめのを掘って、牛糞、わら、枯葉、生ゴミなどを入れ、熟成させてから肥料として使う方法を提案。)


<カンボジアのスダウ情報>

効果がどれほどのものか分かりませんし、だめにしてしまうリスクだってないとはいえません。スダウは、カンボジアに3種類あると言います。一般には2種類しか知られていないようで、一つは薄紫の花を付け、一つは白い花を付けるそうで、前者の方が苦い。もう一つは、とても苦い。昔からよく食べているらしいで す。

実は、今回の葉っぱ、なんだかスリランカのコホンバともちょっと臭いが違うみたいだし、葉は良く似ているけれど、同じものかは不明。スリランカでも、最初に手に入れたコホンバは、もう薬効が強いニンコホンバとは違うという情報も入ってきているので、不明です。

写真は、よく食べているという、スダウの花。今がその時期らしく、味は固くなり始めた菜の花のような感じで苦いけれど後味はすっきり。大きさや葉を見ると、やっぱりスリランカのとはちょっと違うみたい?

普通のカンボジア人は、スダウはその辺に勝手に生えてる(?!)し、その2種類は、いずれも身体にいいから両方食べるし、どっちがどっちか、あまり意識もしたことがないと言います。どちらも芽が膨らみ始めたら食べるそうで、マーケットに売られているそうです。非常に身近な植物であることは間違いありません。 また、鶏のえさとしても与えているらしく、だから鳥インフルエンザはないんだ、と村の人は言っているとか...。(?!)

自生するのも、鳥が実を食べてそこら中に種を空 中散布(つまり糞)してるから、紫のほうも、白いほうも、混在して生えていると思う。今回は、とにかくお金を使わなくてすむように、バッタンボンという所の知り合いに、何とか頼んで拾わせてもらうのに精一杯。それを意識してなかった。2時間ぐらい車を走らせたところで採ってきた。次は、ちゃんと見て採ってくる、 薬効の高い方のみ栽培するようにしたい、とのこと。

まだ効果も分からないし始まったばかりです。でも、あれこれと文句を言っていたカンボ ジア人ですが、参加したほとんどのカンボジア人は興味津々で、分量や作り方をしっかりメモしていました。こういうカンボジア人の姿を見ることは、あまりありませんでしたから、これだけでもやって良かったと思います。


<日本のスダウ情報>

日本の情報によれば、日本人が運営するニーム協会などもカンボジアにあり、植樹を行っているようです。ただ、そこの会員だという人(どこまでの関係 者か不 明)に偶然出会って話を聞いた日本人の話によると、カンボジアのニームなんか効かない、農業には効果ない、とのこと...。

何がどこまで本当の話なのかは分かりません。人から聞いた話は分からないものです。単なる噂なのかもしれないし、何か別に理由があってそういう情報の伝わり方をしたのかもしれません。いずれにしても、「やってみないと分からない」としか言えません。

ニームにしても、色んな説もあると思います。何をとってもそうです。良いと言う人もあれば、よくないと言う人もいる。何が根拠なのか。行動と体験が根拠なら分かります。それでも、その人の行動と自分のそれは異なるはずです。

行動はまず自分がやって、実験・研究を重ねて向上させることが必要だと思っています。カンボジアのこの実習ファームだけがこういう土なのか、その土に合うも のは何なのか、改善するにはどうしたらいいか...、やってみないと分からないことばかり。カンボジアに自生したり身近にあるもので、何かみんなの役に立 つものが発見できたらいいなと思います。

スダウが農業向きでなくても、ニーム協会さんがやっているように、植樹していけば砂漠化は食い止められるし、そんなによく食べているものならもっと増やせばいいし、買う人がいるのなら、孤児院の収入の一つにしてもいいのです。

今は、こうしてみんながやる気になり、協力しあい、正直に話ができる機会ができはじめたことを嬉しく思いますし、これを孤児院の子ども達に継承していきたいと思います。


<秘密兵器なるか!?スライン?>

さらに翌日(3日目)、改めてみんなで集まり、孤児院の年長者以上も一緒に、ニームを一般的に紹介した英語のビデオを見ました。更に関心を持った様子で、色んな案もでました。もう1つの種類のスダウは、一般には食べられないぐらい苦く、薬としか使われない古いもので、普通にはないと のこと。その情報も1人を除いては知りませんでした。もしかしたら、それかもね!と、みんなで話をし盛り上がりました。

そして、昔は、スダウとスラインとい う強烈な薬効のある木の種を水に浸し、苗の根っこを1晩漬けてから植えていたという情報もあり、最近では、政府もその古くからの方法を奨励しているらしいのです。孤児院のスタッフが、スラインを使った実験もやってみたいと手を挙げます。(いい感じ~)

そこで、今が丁度実のなる時期らしいので、スラインも手にいれ、みんなで調べたり実験してみようという話にもなりました。P.C.O孤児院が、真剣に取り組み、周りのカンボジア人も一緒に協力し合ってやろうとする姿をみるのは本当に嬉しいです。

まだまだ これから、じっくり時間をかけて実験を継続です。

次は、葉のスプレーをファームに施しつつ、孤児院内でニームの栽培を行い、スラインも試してみてそして、6月には、手動のオイル圧搾機を使って、種からオイルを作って実験を続けていきたいと思います。

乞うご期待!